フットルース共同開発者の新槇先生がすごい!

静岡がんセンター,世界初 IVR-ADCT(320列CT血管撮影装置)を導入

 

静岡がんセンターでは,320列ADCT(Area Detector CT)と血管撮影装置が一体型となった,世界初のIVR-ADCT(東芝メディカルシステムズ(株)製)を導入し,今年度から稼働した。320列ADCT装置は,従来の高速撮影型CTで得ることができる三次元空間情報に時間軸情報が加わるため,4次元(4D)での血管造影の検査や治療を行うことが可能。すなわち血流動態を経時的に把握し,それに応じた治療法を決める場合などに有効な検査装置である。

例えば肝臓がんの治療である肝動脈塞栓術や肝動注化学療法を行う際,肝動脈から流した薬剤が充分腫瘍に到達しているかどうかを正確に把握する必要があるが,今回導入の装置により,より正確に行うことができるようになる。

2002年の開院当初から稼働していた従来型のIVR-CTを使った治療では,造影剤を注入しながら血管造影を行い,併せてCT検査を行うことで薬剤の到達状況を把握してきた。すなわち,透視装置から把握できる前後方向の平面情報にCTによる奥行きを持った情報を加え,実際の治療を行った際と近似しているはずであるとして行ってきた。また,正確な治療のために鮮明なCT画像を得ようとすると,大量の造影剤を短時間に注入し,造影剤が最も染み渡ったタイミングを見計らって撮影を行うため,抗がん剤治療中の血行動態(血流の向きや流速)を把握することは困難であった。しかし,今回のIVR-ADCTは3次元形態情報に時間軸情報が加わることから,臓器の血流動態を把握し,どの血管に抗がん剤を注入すればより高い効果を得られるか,あるいは,血流走向の情報から肝内転移より肝外転移の可能性が高くなるから治療法を変更しようということもわかるようになる。

さらにIVR-CTの活躍する場面に,深部臓器の穿刺がある。体の深いところにできた腫瘍や膿瘍に針をさし,どんな物かを調べたり(生検),あるいは溜まった膿を外に出す(ドレナージ)手技。従来は外科医によって手術室で施行していたが,近年では経皮的穿刺(大きく創を作らずに,針による穿刺技術のみで生検やドレナージを行うこと)も広く行われるようになった。穿刺する際は,穿刺する方向と針の位置確認が最も重要だが,検査装置は小型で穿刺角度が比較的自由に決められる超音波装置を用いるのが一般的である。しかし超音波は脂肪や空気で減衰してしまう特徴があるため,穿刺の的(腫瘍や膿瘍)が充分に見えないことがある。このようなケースではCTが有用な場合があるが,CTで得られる画像は基本的に体の横断面(輪切りの画像)のみであるため,穿刺方向は横断面に沿った方向(腹背・左右方向)に限られ,頭尾方向に向かって穿刺を行うことは通常困難である。IVR-ADCTでは従来の横断面の情報のみならず頭尾方向に16センチ幅内での情報も得ることができるため,3次元空間における任意断面での画像表示を行うことが可能になっている。今後コンピュータの性能が向上すれば約16センチ幅のあらゆる方向から穿刺を行うことが可能となり,穿刺を安定的に行うことができるようになると期待されれる。

※「世界初の装置」について:320列ADCTを搭載したIVR-CTすなわちIVR-ADCTは世界初。

●本装置導入にあたってのコメント(IVR科 部長 新槇剛(医師))

従来の機器では,撮影された2次元の静止画像情報をもとに,術者の経験に基づいて,3次元の画像や血行動態も踏まえて4次元的な血管像を構築していましたが,本機では動きのある画像情報として表示されます。とりわけ4次元的な血管像の画像は,さらに腫瘍内の血液還流の状況把握(Perfusion Imaging)に応用され,高度硬変肝などによる非典型的な血液還流下においても腫瘍への血流分布が正確に判断できるようになりました。このことは従来では治療対象ではないと誤認されてきた腫瘍に対して正確な血流評価を行い,適確な治療選択が可能となったことを意味します。 
また,従来は,頭尾方向の情報は腹背方向と同時には最大3.2センチ幅までしか得ることができませんでした。つまり,CT下の穿刺時は,立体的な情報は3.2センチ幅以内に限られ,これを越えて穿刺を行おうとした場合には,術者が経験により頭の中での3次元的なイメージをつくり,術者の「勘」も加えて頭尾方向に装置を移動させながら少しずつ針を進めるという作業が必要でした。近い将来に装置の画像処理能力が向上すれば,こうした高度な技術を要求される穿刺も,術者の「勘」ではなく,刺入点から針先までを穿刺しながら確認できる,真に画像誘導下の処置となると期待しています。

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